四旬節黙想会 2022年3月20日
「シノドスのプロセスの活力と実りを推進するために」

講師:
コンベンツアル聖フランシスコ修道会神父
仁川教会主任司祭インマヌエル和越敏

名前は和越敏と言います。
和は大和魂、越はベトナム,敏は私の名前ビンで
6年前に帰化してこの名前にしました。

さて、
教会共同体の姿を見つめてみましょう。

今は、VUCAの時代と言われている。

Volatility(変動)
変化の量や質が大きくスピードも速い

Uncertainty(不確実)
これから起こる事柄が予測できない

Complexity(複雑)
数多くの要因が複雑に絡み合っている

Ambiguity(曖昧)
物事の原因や因果関係が不明瞭である

VUCAの状態の中で共に歩む教会(交わり、参加、宣教)のために私達はどうしたらよいか。



シノドス的プロセスへの参加する12の態度

➀私たちはシノドス的であるために分かち合う時間が必要
「自由」「真理」「慈しみ」を一体化するためには本物の勇気を持って包み隠さず話すように対話を通じて理解を深める。目的を持って分かち合う。

②耳を傾ける謙虚さと話す勇気をもって答えるべき!
嫌われるのを恐れず通じ合うために話す勇気が必要。

③対話は私たちを新しいものへ導く!
私達は間違うかもしれない。
だから他者から聞いたことに基づいて自分の意見を喜んで変えていくことが求められる。

④回心と変化への寛容さ!
適度に行われた方法だけに基づいて決定を下すような自己満足で安易な態度を捨てるよう求められている。
従来の方法で充分、変化を受け入れない私達は人間そのものを考えている。聖霊の導きによってのみ私たちは変化ができる。

⑤このシノドスは識別する教会的な実践
神が世界の中で働いているという確信に基づいて聖霊が示唆するものに耳を傾けよう。
固定概念や伝統とかに縛れずに聖霊が求めている導きに関わっていくべきである。

⑥私たちは、耳を傾けて歩む教会のしるし!
教会は耳を傾けることによって、人々の叫びに耳を傾ける神ご自身の模範に従う。既成の答えや事情に決められた判断に頼ることなく、自分自身を開放して、真摯に耳を傾ける。神が何を求めているかを聴く。

⑦先入観と固定概念を捨てよう!
私たちを無知と分裂へと向かう誤った道へ導く先入観と固定概念から精神と心を開放する。
共同体の中では先入観や固定概念を捨てよう。

⑧聖職者主義の弊害を克服する!
教会の主任司祭とか地区長を尊敬しないといけないが、私たちは愛を持ち交わりの霊と共に使命のうちに、すべての人が互いに耳を傾け合う。
神が私たちひとり一人を作られた。愛を持ち交わりの霊を共に持つ使命がある。主任や役員に任せるのではなく、共にやる事が求められている。

⑨自己肯定というウィルスを治療する!
自己肯定という妄想を捨て、互いに学び合い、共に仕えあい、壁を越えて、橋を架ける。シノドスの促進は互いに学び合い共に旅をしていくことである。

⑩イデオロギーを克服して!
具体的に生きている信仰生活の現実よりも、イデオロギーを重視する危険性を避けるべき。スマホやネットに頼り、信仰生活が忘れられている。
スマホなどに頼らず信仰生活の実践は顔と顔を会わせて話すこと。

⑪希望を生み出す!
破滅の預言者ではなく、希望のかがり火となるように。
私たちは復活のイエス・キリストを信じている。
教会に希望や喜びのしるしがあると若者は教会へ来なさいと言わなくても来る。また、勇気を持って希望を生み出し前向きに出向くことが求められている。

⑫シノドスは、夢を見て「未来と時を過ごす」時!
誰一人排除されることなく、福音の喜びに満ちた未来のビジョンを描けるように。
シノドスを考えることで豊かな信仰生活が続けられる。 

信仰生活の妨げになる
◎落とし穴や誘惑

➀神に導かれるのでなく自分自身を導きたいという誘惑
私達は神が示された道を歩む巡礼者、奉仕者である。
神の導きによって生ることが求められる。

②自分自身や目先の関心事に集中したくなる誘惑
心を開き自分の周りを見渡し、他の視点から物事を見て、周縁部へ宣教活動に出向いていく。
教会に対する神の御計画、お望みは何かを皆と一緒に考える。

③問題だけを見ようする誘惑
問題にだけ固執すると圧倒され落胆に終わる。闇にばかり目を向けていると光を見過ごす。聖霊が命を生み出している、苦しみの中に神様の働きがあることに感謝し、暗闇だけを見ることなく明かりを見ることによってトンネルを抜け出せる。必ず出口がある。 

④組織だけに注目する誘惑
組織に焦点を当てるのではなく聖霊に励まされながら共に旅をする道を識別すべきことを求められる。

⑤目に見える範囲を超えて教会をみようとしない誘惑
カトリック教会の信仰はカトリック教会の信仰だ、プロテスタントはプロテスタントの信仰だ負けてはいけませんと思っている、そうではありません。
目を開き異なった世界からの人たちとの対話が必要。
教会以外の優れた人たちとの交流、謙虚に政治家、経済学者の話を聞いたり、プロテスタントの牧師さんと交流することは私たちの信仰を豊かにする。

⑥本シノドスのプロセスがもつ目的の焦点を見失う誘惑
共に前進し旅するために神が私たちをどう招いているかを識別する。時間をかけ共同で責任を担う態度で前進して行く姿勢が必要。
神の実りを共に受けることが求められる、これが目的でありこれを忘れないで。
これからの教会をどうするか、家庭をどうするかが求められている。

⑦対立と分裂の誘惑 
シノドスを考えていく時、意見が異なって分裂する可能性があることを認識しなければいけない。
自分の考えを押し付けて異なる考えを抑えて分裂する種を持たないこと。聖霊は私たちを神のより深いところへ導いてくださる。私たちの信仰です。

⑧シノドスを一種の機会のように扱うとういう誘惑 
人間社会では多数決で決めるが、少数派の人は声が小さくて弱い、教会はその人たちの声を聞くこと。

⑨教会活動中の人の意見だけに耳を傾けるという誘惑
教会に来ている人だけの意見を聞く傾向がある。
教会へ来れない人の意見を聞かなくなる危険がある。
神が今何を望んでいるか黙想してください。


◎自分の15の病気とは?

➀自分は不滅な者で免疫のある者との考えで定期健診を受ける必要性があるのに無視する病気
神父に赦しの秘跡を勧められているのに私には罪がないのでという人には傲慢の罪を告白しなさいと言う事になる。定期的に受ける必要がある。
自分が罪人であることに気づき私共は取るに足りない僕ですという気づきが必要。

②マルタ・コンプレックス
働き過ぎで仕事に没頭し、イエスの足元にかがむ良い方を忘れてしまう病気。
家族と共に時を過ごし、霊的に身体的に充電する時して休みが必要。
働くことも大事、休むことも大事。

③心と精神が石のようになる病気
神と遠く離れてしまう病気。
日曜日何のために来てる。
教会へは祈るために来る、仕事をするためではない。
先ずお祈りをしてから仕事をする。
泣く人と共に泣き喜ぶ人と共に喜ぶ。

④計画し過ぎ、機能主義
自分の場所から動かずに、変わらずにいる方が簡単で居心地が良いもの。
計画通りにしないと落ち着かない。
ミサの席がいつも同じであると交わりがない。
席を変わると友達ができる。変わって下さい。
聖霊の働きを忘れてしまう。

⑤協調性の欠如 
組織のメンバー同士の交わりが失われるとき、協調的に機能できなくバランスを失う。

⑥霊的なアルツハイマー
自分の想像の世界に依存し、主との出会いの記憶を失う。感謝することを忘れてしまう。
霊的な力がますます弱まり人生に長期的短期的に大きなダメージを受ける。
カトリック教会との出会いは何処から始まっているか、自分は何処の誰から信仰を頂いているか感謝をこめて思い出す。

⑦競争心と虚栄心
自分以外の他人のことにも注意を払い自己中心にならない。へりくだり互いに相手を自分より優れた者と考える。

⑧実存的統合失調症
偽善と霊的な空白の拡大という二つの問題を抱えて二重生活を送っている人々。
教会では羊の顔、家に帰ったら何の顔、鬼?
慈愛・思いやりの精神から遠ざかり官僚的な事例に自分を縛りつけている。

⑨うわさ話、苦情、陰口
同僚や仲間の名誉を傷つける。血も涙もない者にしてしまう。
教会に来れなくなるのは人に傷付けられる人間関係からかかも知れない。 

⑩人間への偶像崇敬
他者に気に入られるために取り入る。
出世第一主義、日和見主義の犠牲者、神ではなく人間を崇めている。
人を比較することで神の事を忘れてしまう。
自分が得られるものを考え、与えるべきものを考えない。

⑪他の人々に無関心
自己中心は人間関係に誠実さと温かみを失ってしまう。
嫉妬や策略から、助けたり力づけたりせずに他者を見捨てる。

⑫陰鬱な顔
自分よりも下の人々に厳しく無愛想で傲慢な態度で接しなければならないと思っている。
厳格な顔をしている人。喜びと柔和に満ち、謙遜な心を忘れないように!

⑬物をため込む
必要からではなく安心感を得るために物を溜め込む。
そのために自分の心の中の実存的な空白を埋めようとする病気。人は重荷を背負い、歩みが遅くなる。

⑭閉鎖的な集団意識
グループがキリストの体の調和を脅かし弱い立場の兄弟姉妹に不幸や災いをもたらす。

⑮自己顕示という形で行われる世俗的な利益を求める
神と人々への奉仕を力に変えて世俗的な利益や権力を得るために商品化する場合。
自己顕示のため、自分が他者より有能であることを示すこと。

十字架を眺めながら神と他人との関わりを見つめる
十字架を眺めて私と神との関りを縦棒とし、私と人との関り(奉仕)を横棒とした時、私自身の
十字架はバランスが取れているか。

追記
大阪教区発行の「新生の明日を求めて~交わりを証しする教会」には21世紀ビジョンとしての展望が纏められており、資料として「分かち合いの推進」には具体的な分かち合いの方法が詳しく載っている。参考にされたら良い。