私は、この春、ついに洗礼を受けました。
ずっと神様から遠く離れて生きてきた私が、なぜ今、信仰の道に入ったのか。
その経緯を少しお話しさせていただきたいと思います。
私は「うみのほし幼稚園」で幼少期を過ごし、その後も小学校から高校までカトリック系の学校に通いました。
毎日の祈りや宗教の授業、ミサといった日常の中で育ちながらも、正直に言えば、私はずっと神様を信じていませんでした。
そんな私が大学に入って間もない頃、ふと手に取った小説がありました。
三浦綾子さんの『氷点』です。
当時の私は「面白い小説だな」と思いながら読みましたが、そこに込められた深いテーマや作者の信仰心にはまったく気づけていませんでした。
物語の展開に引き込まれ、登場人物たちの感情に胸を打たれながらも、それ以上に踏み込むことはありませんでした。
それから10年が経ちました。
あるとき「好きな本は何ですか」と尋ねられ、私は『氷点』と答えました。
「読んでみたい」と言ってくれた友人に本を貸す前に、「もう一度読んでみよう」と思い、再びその本を開いたのです。
ちょうど30歳を迎えた頃でした。
10年ぶりに読む『氷点』は、まったく違う印象を私に与えました。
登場人物たちの苦しみや葛藤、赦しといった感情が、まるで自分自身の人生に重なるように感じられました。
そして、何より心に響いたのは、三浦綾子さんの言葉の背後にある「人間とは何か」「赦しとは何か」という深い問いかけでした。
“見えない神様を信じるということ ガラシャ J・A” の続きを読む