聖母被昇天祭に思う
主任司祭 長崎壮

涼しい秋の訪れを感じるにはまだしばらく待たなければなりませんが、枚方教会では8月の一大行事である聖母被昇天祭を無事に終えることができました。

昨年は司祭団と評議員や典礼委員の方々のみが共同体を代表するかたちで捧げる少し寂しいミサでしたが、今年は参加制限をなしにして教会の兄弟姉妹とともに同じ場で祝えたことは大きな喜びです。

聖母の被昇天は洗礼によって神様と深く結ばれた私たちがこの世の旅路を終えた後に行くべきところは神様のみもとであることを示す希望のしるしです。

そして、おりしもこの祭日は日本ではお盆の時期と重なることから枚方教会では死者追悼の意向を合わせてミサを捧げる伝統があります。

私たちに信仰を伝えてくれた家族や恩人たちがマリア様の被昇天にあやかって、永遠の安息に入ることを祈るとともに、彼らが私たちに残してくれた信仰の恵みの大きさについてもう一度考え、「それを大切に引き継いで生きよう」と決意を新たにする大切な意味があります。

この祭日を祝うにあたって私の頭に去来したことは、この一年の間に信仰が篤くよく祈り教会の種々の活動で活躍された方が多く神様のみもとへと旅立っていかれたことです。

帰天された彼らのことを思い出しますと、病院や施設訪問がままならないコロナ禍にあるとはいえ、「もう少し手段を講じて見舞いや励ましをすることができなかったか」と悔まれることも多くあります。

司祭として今は神様のみもとにおられる兄弟姉妹の友情に報いることは、遺族の方々、特にお子様の信仰の歩みに寄り添い、彼らと信仰の道を共に歩むことだと思っています。

幸いなことに立派に信仰生活を生きた兄弟姉妹のお子様がお父様、お母様の信仰を引き継ぎミサの中で熱心に祈っておられます。

このことには神様のみもとの兄弟姉妹の取次ぎの力を感じますし、信仰のバトンリレーがうまくいっていることの証しとして枚方教会に希望を与えてくれます。

9月に入ると日本の教会では教皇フランシスコの来日への感謝にちなんだ「すべての命を守るための月間」が始まります。

この特別月間の中で私たちが神様によって造られた自然界のすべての命に対して普段より一層優しい目を向けられればと思います。

秋は一年で一番思索的になり、祈りも深まる季節です。

枚方教会の皆さん、どうか実りの秋をお過ごしください。