スカウト礼賛(らいさん)
主任司祭 竹延真治

2012年に大阪教区のスカウト担当司祭の任命を受けた。

前任者が引退を当時の大司教様に申し出た時、少年時代にボーイスカウトの経験があるわたしに白羽の矢が立ったのだ。

スカウト経験があるとは言っても実際には中1でボーイスカウトをやめている。

遅くまで「おねしょ」の癖が治らなかったわたしは、キャンプ生活自体が針の上のむしろで、実際にテントで宿泊した夜にしくじってしまったこともある(神の助けか、その夜は土砂降りの雨が降りテント内に浸水、みんなの寝袋もびしょ濡れになりバレなかった!)。

「おねしょ」以外にも不器用で動作が鈍く、友達づくりが苦手なわたしは、ボーイスカウトをそれ以上続けることはできなかった。

スカウトを途中でやめたことで大変な劣等感があるから、わたしは「誰か他の神父様を任命してください」と司教様にお願いしたが、引き受けてくれる司祭が他にみつからず、やむなく教区のスカウト担当司祭を引き受けることになった。

就任直後、スカウトを自分の教会から追い出そうとする司祭が出てきた。

「国旗掲揚をするスカウト活動は軍隊のようだからうちの教会には置けない」というのだ。

幸いに司教様の仲裁を受けて何とか解決を見たが、これをきっかけにわたしはスカウト活動の歴史と意義を勉強しはじめた。

ボーイスカウトは、イギリス聖公会の熱心な信者であったベーデン・パウエル卿(スカウトたちは創始者をBP『ビーピー』と愛称で呼ぶ)が福音の精神をこどもたちに言葉だけではなく実践を通して伝えたいと、1907年8月イギリスのブラウンシー島に子どもたちを連れてキャンプを行ったことを起源とする。

BPの予想を超えてイギリス国内のみか世界中にこの活動は瞬く間に広がっていった。

また、ガールスカウトの設立にはBPの遺志を継ぐ妻オレブが関わっている。
 
年齢の異なる子どもたちが実の兄弟姉妹であるかのように寝食をともにするスカウト活動は、この度フランシスコ教皇が主導されたシノドス(ともに歩む)の実践そのものであり、最も教会的な活動であると思う。

わたしが、今も共同生活が苦手であっても食事当番を積極的に引き受けようとし、苦手な人とも何とかいっしょにやっていきたいと願うのは、スカウト活動を通じていただいた神様からの賜物(たまもの)だと思う。

多くの子どもたちにスカウト活動に参加してもらいたい。