福音を家に持ち帰る
主任司祭 長崎 壮

次から次へと出現する新型コロナウイルスの変異株に悩まされている私たちですが、教会の暦は四旬節を迎えようとしています。

そしてこの緊張を強いられるコロナ禍にあって、信者ひとりひとりが「ともに歩む教会」の実現を目的とするシノドス(世界代表司教会議)のための意見を求められています。

質問票の各質問は、個人で答えるのは難しいものもありますが、仲間との分かち合いを通じて実りある意見を出し合うことができるはずです。

二月の壮年会でもこの質問の分かち合いを行い、有意義な意見交換の場とすることができました。 

参加者は七十代の方々が多かったのですが、「自分の子供たちが教会から離れてしまった」という嘆きの声もありました。

そういった嘆きも枚方教会の将来を案じてくれているからこその嘆きであり、人の親になったことのない私には立ち入ることのできない問題でもあるでしょう。

ただ、このような嘆きを聞くにつけ、家庭内宣教ほど難しいものはないと感じます。

私の属するクラレチアン会は宣教会ですから、宣教に関する難しい文書などもたくさんあります。

しかし難しいことは抜きにして、私が福音宣教で一番大切なことは、私たちが相手にとって「いい人」であること、福音に慰められたものとしての人間的な温かさが私たちから感じられることだと常々思っています。

家族の中では「よき父親」、「よき母親」となり、友人同士の中では「よき友」になることです。

そして「いい人」になるというのは、「その人といるとリラックスできる。困ったことがあったらともに悩み、祈ってくれる」 といった信頼を相手にもってもらうことです。

もしお父さん、お母さんが大好きでいつも一緒にいたければ、子供はミサにもついていくでしょうし、ミサに参加している家族の一人がミサから喜びや霊的な活力をいただいていることが感じられるならば、ほかの家族もその喜びの根源を知ろうと教会に向かいます。

コロナ禍のいま、家族を代表してミサに参加されている方もいらっしゃいます。

そういった方々は福音の喜ばしい知らせを家庭に持ち帰って、家族への温かい関りを実践していただければ、それは家庭内宣教の第一歩となります。

そのために司祭たちも皆さんのご家庭に喜びと力を与えられるように心を込めてミサをお捧げしていくつもりです。

枚方教会の皆さん、よい復活祭、希望に満ちたキリスト者の春をともに迎えましょう。