小さい頃のメキシコでの5月の聖母マリアにささげる祈りの思い出をお話ししましょう。
故郷の教会では、5月中、毎日聖堂で行われるロザリオの祈りと聖母にささげる花行列に大勢の子どもたちが集まっていました。ロザリオの黙想を唱える時にリーダーたちが用意してくれたお花を一つずつもらって行列に加わり、歌いながらマリア様の御像の前まで進み、花を捧げて席に戻ります。私は1回も休まずに熱心に参加しました。終わると、いつも果物や小さいパンをもらって帰っていたのが楽しい思い出として私の心の中に残っています。
もう一つは小神学校時、毎日、順番にソリストとして聖母に歌をささげていました。上手く歌えた時もあれば、そうでない歌い方をした時もありました。神学生の祈る心を育てるために担当者が次のように言っていたのを思い出します。『歌で祈ることは、祈りを二倍にします』と。だから私はそれに挑戦して、マリア様のために心を込めて歌で祈りました。
日本ではどうでしょう。幼稚園で働いていた時、確かに5月に、マリア様に花をささげる行事がありましたが、教会では、そのような習慣がありませんでした。意識してロザリオの祈りをささげるように皆さんにお勧めします。
5月の典礼暦について考えてみましょう。
5月1日は『労働者聖ヨセフ』の記念日です。イエス様がヨセフ様から仕事を学ばれた時、イエス様に汗かく労苦を神にささげるようにと教えられました。私たちに労苦して汗をかくことを教えていただいた労働者の保護者聖人と定められています。このことを意識してこの日を過ごしましょう。
今年は5月20日が『聖霊降臨』の祭日です。『聖霊、来て下さい』と願って、その日を迎えたら豊かな実りが得られると確信しています。『沈黙』の時を過ごすことを勧めます。沈黙の精神を身に付けると深い霊的な生き方ができるようになるからです。私たち自身の内なる心への気づきを呼び起こし祈りを深めます。祈りのミニ知識として、小さき聖テレジアのことばを勧めます。『わたしにとって、祈りとは心のほとばしりです。天に向ける素朴なまなざしです。辛いときにもうれしときにも天に向けて上げる、感謝と愛の叫びです』。次の聖句も助けになります。『主イエスよ、わたしを憐れんでください』。『天地の主である父、わたくしはあなたをほめたたえます。あなたはこれらのことを知恵のある人や賢い人には隠し、小さい者に現してくださいました。』(マタイ11:25)。これを数回繰り返してみるだけで祈りに実りが得られます。
5月31日は「聖母の訪問」の祝日です。聖母の姿に心を向けるのに相応しい日です。私の好きな祈りを紹介しましょう。「無原罪の聖マリア、あなたによりたのむわたしたちのためにお祈りください」。
今月は聖母への信心を目指して祈る心を育てましょう。