「神のうちの真のいのち」のローマ巡礼に参加   ー昌川 信雄神父ー 河北朝祷会より(2015.12.10 第185回)

私は10月に「ローマ巡礼」に参加し、ローマ、ポンペイ、アッシジ、ロレートを巡りました。ヴァスーラ・リデンという名前の、ギリシャ人の両親からエジプトで生れその後ヨーロッパに移住した女性の宗教家(東方正教会)が主宰した巡礼です。

参加者は総勢約750名で、東方教会とカトリックが半々弱、他にプロテスタントの方々でした。巡礼のテーマは「分裂ではなく一致を」でした。これから、巡礼中に、スウェーデン国教会(ルター派)のウェステルガルド牧師がされた講話を読ませていただきます。(掲載は紙面の制限があり一部の要約)

「一致への二つの鍵は、『神のうちの真のいのち』のメッセージによれば「愛と謙遜」です。互いに愛し合いなさいという主の命令に従うならば、一致のために私たちはお互いに知り合う必要があります。私たちがここにいる理由の一つはそのためです。しかしながら、私が経験上耳にするのは、宗教改革時代以来多くの異なる伝統や宗派を生んだ プロテスタンティズム(プロテスタント主義)はあまり良いものではないと知られていることです。・・・プロテスタンティズムの持っている特質について少しお話ししたいと思います。

マルティン・ルターが500年前、後に宗教改革として知られることを行った時、彼のなかには新しい教会を始めようと言う意図は全くありませんでした。自分自身のカトリック教会を刷新したかっただけなのです。そして、いくつかの事柄と教会リーダーに対して批判をしたのです。彼は神のイメージを回復したかったのです。

そして個人の信仰の必要性を強調し、人々に母国語による聖書を与え、母国語による典礼(礼拝儀式)を示し、その他いろいろなものを与えました。ある意味、ルターは預言的な人物だったと言うことができるように思います。・・・もちろん、プロテスタンティズムの中に見られるいくつかの分裂は、意見の食い違いやエゴイズムによる結果であること知っています。

プロテスタンティズムの特質は預言的であるということです。預言的呼び掛けには、神のもとに立ち帰りなさいという呼び掛け、ゆがめられた神のイメージを回復させなさいという呼び掛け、神のみ旨に従った人生を送りなさいという呼び掛けが含まれます。・・・カトリック教会や東方教会から見ると、プロテスタントの教会は、いくつかの要素に欠けているように見え、プロテスタント教会から見れば、カトリック教会も東方教会も、教会の創立時には無かったものが新たに付け加えられているように見えるのです。・・・

プロテスタントが賜物を上手に用いている場合があります。それは、日常生活において聖書をよく読むこと、宣教すること、讃美歌や聖歌における豊かな伝統、私たちのうちに働く神のみ業への信頼、万人祭司主義(一般信徒に重要な役割があることを意味する)の強調などがその例になるでしょう。ヴァスーラは時に『すべての教会はエゴ(自我)に死ななければならない』と言います。しかし、どの教会もその魂において死ぬ必要はありません。教会が一致を通して失うものはありません。正統なものが残るのです。

最後に教派の交流に関してですが、ローマカトリック教会とルーテル世界連盟とのエキュメニカル活動について付言します。2年後の2017年は宗教改革の500周年に当たります。双方が共同で宗教改革時代の歴史について『対立から交流へ』という本が書かれています。」